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2017.9.8 Fri

The Royal Tenenbaums (2001)

ウェス・アンダーソンの映画というと、内容と共にいつもその独自の美意識に貫かれた衣装やセットが話題になります。中でも「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」のファッションは、特に人気があるのではないでしょうか。父親の死期が近いということを受けて、バラバラだった家族がニューヨークのアッパー・イースト・サイドの実家に戻ってくるという物語でしたが、父に反旗を翻して家を出た三人の子供たちが、みんな大人になってもユニフォームのように少年少女だった時代と同じような服を着ているのが印象的でした。
 特に評判になったのが、グイネス・パルトロワ演じる長女マーゴット・テネンバウムズのスタイルです。濃いアイメイクに、前髪をスリーピンで留めた金髪のボブ・スタイル。それに水色のラコステのボーダー・ワンピースとミンクのコート。いまだに映画のヒロインを真似たファッション・グラビア等で真似される、アイコニックなコーディネートです。

しかしここで注目したいのは、大人になってからの登場シーンでマーゴットが着ているスリップの方です。ヌードカラーで肌に吸いつくようなシルエット。このスリップを着たマーゴットはクールでセクシーでした。裾と胸元に控えめにレースがあしらってあるシンプルなデザインですが、胸の真ん中の小さなピンクのリボンに、少女が着るシュミーズの面影があります。バスルームの洗面台に座って煙草をふかしながら、マーゴットはバーガンディ色のネイルを足の爪に塗っているのですが、そのトー・ネイルとスリップの色の組み合わせも素敵でした。あのラコステのポロワンピースの下に、こんなランジェリーをつけている。そんな事実が、彼女の複雑な個性をより魅力的に見せています。
 細部へのこだわりが強いアンダーソン監督らしく、マーゴットの毛皮のコートはフェンディに発注したもので、ラコステのワンピースも許可をもらって映画のためにデザインした特注品だといいます。このスリップもマーゴットのためにデザインされたものである可能性が高いのですが、どこに注文したのでしょうか?

山崎まどか

コラムニスト、翻訳家。映画や音楽、文学などカルチャー全般に造詣が深く、特に女子という軸から紐解く独自の視点にファンが多い。主な著書に『女子日和』(アスペクト)、『オリーブ少女ライフ』(河出書房新社)など

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