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2019.7.10 Wed

昨日・今日・明日(1963)

太陽のように明るくて、おおらかで、野性的で、セクシー。60年代のソフィア・ローレンはイタリア映画を代表する女優でした。そんな彼女の魅力が堪能できる映画がヴィットリオ・デ・シーカの「昨日・今日・明日」(1963)。オムニバス形式の作品で、ソフィアは三人の女性を演じています。いずれも印象的な役ですが、三話目の「ローマのマーラ」は“ランジェリーの映画史”に燦然と輝く作品だと言えます。
ソフィア・ローレンが演じるマーラはコール・ガール。休暇で祖父母の家に泊まりに来ていた神学生のウンベルトは、隣のアパートメントに住む彼女の美しさに目を奪われます。マーラは本来真面目な女性で、こういう商売をしているのにも訳があるのですが、ウンベルトの祖母は当然、マーラにいい顔をしません。ところが、彼女がマーラに泣きつく日がやって来ます。マーラに恋をしたウンベルトが神学校を辞めると言い出したのです。信心深いマーラはウンベルトが道を誤らないよう神様に誓いを立て、一週間コールガールの仕事を休業することに決めます。マーラの常連客のルスコーニにとっては面白くない話です。社長の御曹司である彼はマーラに夢中。一週間の“お預け”に千々に乱れる思いです。ルスコーニを演じるのは、ソフィア・ローレンと同じくイタリア映画が生んだ世界的スター、マルチェロ・マストロヤンニ。共演作も多い二人は名コンビです。

神学校に戻っていくウンベルトを見て、マーラはルスコーニとベッドを共にする前に彼のためにストリップを披露します。レコードで音楽をかけ、服を脱ぎ、ガーター付きの黒いコルセットの姿で踊るマーラを見たルスコーニがベッドで歓声をあげるシーンはこの映画のハイライトです。マーラはガーターベルトを外して、とびきり色っぽくシアーなストッキングを脱いでいきます。31年後、ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニはあまりに有名なこのシーンをロバート・アルトマンの映画「プレタポルテ」(1994)で再現することに。この頃のマストロヤンニはもう好々爺になっていて、彼女がストッキングを脱いだ時にはもうベッドですやすや眠っていました。

山崎まどか

コラムニスト、翻訳家。映画や音楽、文学などカルチャー全般に造詣が深く、特に女子という軸から紐解く独自の視点にファンが多い。主な著書に『女子日和』(アスペクト)、『オリーブ少女ライフ』(河出書房新社)など

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