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2018.3.14 Wed

ランナウェイズ(2010)

チェ、チェ、チェ、チェ、チェ、チェリー・ボム! 70年代の終わりに登場したオール・ガールズ・バンドのザ・ランナウェイズのヒット曲「チェリー・ボム」は一度聞いたら忘れることが出来ないほどインパクトが強い曲です。それを歌っているボーカルのシェリー・カーリーのコスチュームも、同じくらい鮮烈な印象を残します。バンドのボーカル・オーディションに受かった時、シェリーは十五歳。まだティーンエイジャーの彼女がステージのコスチュームに選んだのは、フロントを黒いストリングスで留めた白いコルセットとパンティ、レース付きのガーターと網タイツというスタイルでした。あまりに挑発的でセクシーなこのシェリーのコスチュームで、ザ・ランナウェイズはロック史にその名を刻んだのです。

バンドの始まりと解散を描く映画「ランナウェイズ」では、ダコタ・ファニングがシェリー・カーリーを演じ、金髪をシェリーに似せたレイヤー・カットにして、このコルセットに身を包みました。清純派の彼女の思い切ったイメージ・チェンジです。シェリー・カーリーの姿は当時、日本でも話題になり、ザ・ランナウェイズが来日した際は、写真家の篠山紀信がこのステージ衣装のシェリー・カーリーを撮影しています。この時のグラビアは有名で、映画でも撮影シーンが再現されていました。カメラマンを演じた俳優も篠山紀信そっくりのアフロ・ヘアです。栄光の頂点とも言えるこの日本公演の後、バンドの女子たちの人間関係は上手くいかなくなり、シェリーはバンドを脱退することになります。
 今ではザ・ランナウェイズはプロデューサーのキム・フォーリーに操られ、搾取されたバンドとして知られています。シェリーのランジェリーの衣装も一時期は徒花的な扱いを受けていました。しかし、シェリー・カーリーによってランジェリーの衣装はただセクシーなだけではない、女の子の反逆のスタイルになったのです。マドンナやコートニー・ラブといったロック・シンガーたちがシェリーに続きました。ステージで着るランジェリーは、ロックを歌う女の子たちの特権なのです。

山崎まどか

コラムニスト、翻訳家。映画や音楽、文学などカルチャー全般に造詣が深く、特に女子という軸から紐解く独自の視点にファンが多い。主な著書に『女子日和』(アスペクト)、『オリーブ少女ライフ』(河出書房新社)など

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