momolife

WILD FLOWERS WILD FLOWERS

2017.8.4 Fri

ときめきサイエンス(1985)

 学校の人気者でもなくて、女の子にもちっともモテない男子高校生二人が、憧れの女優やグラビア・アイドルの写真をデータとしてコンピューターに取り入れて、奇跡が起きてそこから彼らの理想の女性が出現したとしたら、その女性はどんな服や下着を身につけているのでしょう?
 ジョン・ヒューズの八十年代のティーン・コメディ「ときめきサイエンス」は、そんな映画です。二人の主人公男子が創造してしまった「夢の女」リサを演じるのはモデルから女優に転身したケリー・ルブロック。当時は「ウーマン・イン・レッド」などの主演で話題をさらった、いかにも八十年代らしいゴージャスな美人です。
 男子の妄想を具現化したはずのリサですが、彼女はレースやレザーの扇情的なランジェリーを身につけているわけでもなければ、オールヌードでもありません。リサが着ているのは、白いラインの入ったブルーのシンプルなショーツに、短い丈のクロップドトップス。ハイネックで、よく見ると袖にショーツと同じ色のラインが入っているところが洒落ています。トップスの裾からのぞくアンダーバストから細いウェスト、平らなお腹へのラインが何ともスリムで美しい。彼女のスタイルを最大限に活かしたコーディネートです。セクシーだけど下品ではなくて、スポーティな雰囲気もあります。当時の「スポーツ・イラストレイテッド」誌のグラビアのイメージなのでしょう。時代が一回りして、今、このスタイルはとてもフレッシュに映ります。

 リサはただの色っぽいお人形さんではなく、内気な若い男の子たちのお尻を叩いて人生を経験させる、姉のような存在として描かれています。彼女自身を好きにさせるのではなく、主人公たちが自分の殻を破ってリアルな女の子や同級生と関係が築けるように指導していくのです。このキャラクターが持っている人生のコーチみたいな側面も表したスタイルなのでしょう。もしかして、ティーンの男子にとって真に理想的な年上の女性というのは、そういうものなのかもしれません。

山崎まどか

コラムニスト、翻訳家。映画や音楽、文学などカルチャー全般に造詣が深く、特に女子という軸から紐解く独自の視点にファンが多い。主な著書に『女子日和』(アスペクト)、『オリーブ少女ライフ』(河出書房新社)など。

LINGERIE IN CINEMAS
TOP