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2018.5.9 Wed

おしゃれ泥棒(1966)

オードリー・ヘプバーンといえば、エレガンスの代名詞のような存在です。洗練されたドレスは似合うけれど、彼女のランジェリー姿はちょっと想像できない、という人も多いのでは。ところが、オードリーがランジェリーと言える服装で登場する映画があるのです。それがウィリアム・ワイラー監督の「おしゃれ泥棒」(1966)。この映画でオードリーは、パリに暮らす贋作画家の娘、
ニコールを演じています。
60年代の映画だけあって、この映画のオードリーはちょっとグルービーです。白いピルケースハットに白いフレームのサングラスというスタイルで、真っ赤なアウトビアンキ・ビアンキーナのコンパーチブルに乗って颯爽と登場します。そんなオードリー扮するニコールの悩みは、父が贋作を美術館に売ったり、高い値で貸し出したりしていること。そして案の定、父が美術館に提供したチェリーニのヴィーナス像のお披露目パーティがあった夜、事件が起きます。青い目のハンサムな泥棒が彼女の家に押し入り、父が描いた贋作のゴッホの絵を盗もうとしたのです。

震える手で拳銃を持ち、彼に立ち向かう時にニコールが着ていたのが、ピンクのナイトガウンでした。裾と袖の側面、丸首の襟に白いレースがあしらわれた、とても上品で可愛らしいデザインのナイトガウンで、いかにもオードリーらしい。しかし、よく見るとスリットが入っていて、そこからのぞく素足がほのかにセクシーでもあります。シルクのこのナイトガウンをデザインしたのは、もちろんユベール・ド・ジバンシィ。オードリーとは「麗しのサブリナ」(1954)以来タッグを組んで、ファッショナブルな彼女のイメージを作ってきました。
ジバンシィのナイトガウンなら外で着ても平気!とばかりに、大胆なニコールはそのナイトガウンに黒い長靴を合わせ、鮮やかなショッキング・ピンクのコートを羽織って、車を運転してその泥棒をリッツ・ホテルまで送り届けるのです。そんな彼女に泥棒はおやすみのキスをします。ランジェリー姿でのキスといえばラブ・ストーリーのクライマックスだけど、この映画の場合は始まり。そこが洒落ています。

山崎まどか

コラムニスト、翻訳家。映画や音楽、文学などカルチャー全般に造詣が深く、特に女子という軸から紐解く独自の視点にファンが多い。主な著書に『女子日和』(アスペクト)、『オリーブ少女ライフ』(河出書房新社)など

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