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2019.3.27 Wed

「パルプ・フィクション」(1994)

ギャングのボスの妻の面倒を見ることになった男。八百長試合を持ちかけられたボクサー。うっかり情報屋の頭を撃ってしまったギャングの二人組。いくつもの物語が交錯する「パルプ・フィクション」(1994)はクエンティン・タランティーノ監督の代表作の一つです。この映画で取り分け大きな印象を残すのが、ポスターにも登場したユマ・サーマン。黒いボブヘアのウィッグをつけて、ギャングの大物の若い妻、ミアを演じていました。ボスから彼女の世話を頼まれた下っ端ギャングのヴィンセントを演じたのは、ジョン・トラボルタです。ディスコ映画「サタデー・ナイト・フィーバー」(1977)でスターになった彼を踊らせない手はないとタランティーノは考えたのでしょう。ミアとヴィンセントが映画をテーマにしたクラブでダンスするシーンは、この映画のハイライトでした。

その時のミアは男物の白いシャツに黒いパンツというスタイル。そんなシンプルなファッションをとびきりセクシーに見せていたのが、シャツから透けて見える黒いブラでした。ミアがシャツの胸元を大きく開けているところをみると、このブラはただの下着ではなく、見せることを想定したコーディネートの一部なのでしょう。楽しい夜はクラブのシーンの後、とあるアクシデントで急転直下。ヴィンセントは彼女のシャツを脱がせざるを得なくなるなります。セクシーな意味合いではなく、ミアの命を救うためなのですが……。そこでミアが身につけていたのが、普通のブラジャーではなく、白いポップなプリント柄のコルセット・ブラであることが判明します。シャツを羽織らなくても、これだけで立派なファッションになりそうです。クールに見えてもミアはまだ若く、遊びたい年頃。このコルセット・ブラは白いシャツと黒いパンツの下に隠された、彼女の意外な真実を物語っているのかもしれません。この映画で23歳のユマ・サーマンはタランティーノのミューズとなり、90年代映画のアイコンと言える存在になりました。二人のコラボレーションは「キル・ビル」二部作を生むことになるのです。

山崎まどか

コラムニスト、翻訳家。映画や音楽、文学などカルチャー全般に造詣が深く、特に女子という軸から紐解く独自の視点にファンが多い。主な著書に『女子日和』(アスペクト)、『オリーブ少女ライフ』(河出書房新社)など

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