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2018.9.19 Wed

パーソナル・ショッパー(2016)

オリヴィエ・アサイアスの映画でクリステン・スチュワートが演じるモウリーンの職業は、作品のタイトルでもある「パーソナル・ショッパー」(2017)。忙しいセレブリティや富裕層のクライアントに代わって、服飾品などの買い物を代行するのが仕事です。モウリーンはパリでクライアントのキーラが公式行事やプライベートで着る服や靴を集めるためにブティックやショウルームを回り、プジョーのスクーターで忙しく動き回っています。彼女自身の服装はいつもシンプルで実用的なもの。黒のポロシャツやセーターにジーンズ、スニーカー、革ジャンというのがいつもスタイルで、彼女が仕事のために集めるきらびやかな最先端ファッションとは対照的です。モウリーンが決して好きとは言えない仕事をしてパリにとどまるのには、理由がありました。霊的な力を持つ彼女は、この街で亡くなった双子の兄からのスピリチャルなメッセージを待っていたのです。

その兄が亡くなった屋敷で霊を見た夜から、モウリーンの周囲で異変が起きます。キーラはショッパーであるモウリーンに自分の服の試着を禁じていましたが、執拗にショート・メッセージを送ってくる匿名の相手の挑発に乗るように、モウリーンはキーラのいないマンションでクライアントの服に袖を通します。私服を脱いだ彼女が身につけているのは、黒のシンプルなトンガだけ。彼女はキーラが脱ぎ捨てたらしき黒のシアーなブラレットをクローゼット部屋で見つけ、それも身につけます。更にその上からハーネスをつけ、アンダーパンツを下半身に重ね、黒のシルクオーガンザのドレスを着るのです。下のハーネスとランジェリーもコーディネートの一部となっている、透ける素材のドレスです。真夜中、明かりのついていないマンションで禁じられた服を着るクリステン・スチュワートのランジェリー姿には、不思議なセクシーさがありました。オーガンザのドレスも素敵だったけれど、ブラレットとハーネスだけのスタイルで、あの黒のビジュー付きのハイヒールを履いて欲しいと思ってしまったほどです。

山崎まどか

コラムニスト、翻訳家。映画や音楽、文学などカルチャー全般に造詣が深く、特に女子という軸から紐解く独自の視点にファンが多い。主な著書に『女子日和』(アスペクト)、『オリーブ少女ライフ』(河出書房新社)など

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