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2017.9.22 Fri

Passion (2012)

映画の悪女のキャラクターを見て、彼女はどんなランジェリーを身につけているのだろうかと考えたことはありませんか?そのキャラクターが悪徳に染まっていれば染まっているほど、魅惑的であればあるほど、彼女のドレス以上にその下に着ているものが気になるものです。他人には見せない、隠しているところに本当の姿があるような気にさせる。それが悪女の魅力です。
 サスペンス映画の名匠であるブライアン・デ・パルマの映画には常にそんな女性たちが登場します。そのせいか、セクシーなランジェリーのシーンにも事欠きません。「殺しのドレス」(80)のナンシー・アレン。「ボディ・ダブル」(84)のメラニー・グリフィス。「ファム・ファタール」(02)のレベッカ・ローミン。「ブラック・ダリア」(06)のヒラリー・スワンク。いずれも黒のランジェリー姿が印象的でした。

レイチェル・マクアダムスも「パッション」(12)でデ・パルマの「黒いランジェリーの女」に仲間入りをしました。彼女が演じるクリスティーンは、手練手管によって若くして広告会社の重役にまでのぼりつめた女。いつまでも可愛らしいイメージのある彼女のフィルモグラフィーでは異色とも言える役です。そんなクリスティーンに憧れているのが、ノオミ・パレス演じるアシスタントのイザベルです。しかしその憧れは、クリスティーンに仕事の手柄と恋人を横取りされたことによって殺意へと転じていきます。贅沢なマンションの一室で男性を待つクリスティーンが身につけているのが、黒いガーター・ストッキングと黒のレースとオーガンジーのビスチェ、そして黒のブラジャーというセットでした。これぞ「悪女」というランジェリーですが、ストラップにリボンがあしらっているところに絶妙な甘さがあって、レイチェル・マクアダムスによく似合っています。更に悪女のイメージを強めているのが、ランジェリーの上から羽織ったオリーブ・グリーンのヴェルベットのローブです。裏地と袖口はメタルのような光沢を放つ同じ色のサテン。このローブ姿のマクアダムスはまるでエレガントなカマキリのように見えたのです。

山崎まどか

コラムニスト、翻訳家。映画や音楽、文学などカルチャー全般に造詣が深く、特に女子という軸から紐解く独自の視点にファンが多い。主な著書に『女子日和』(アスペクト)、『オリーブ少女ライフ』(河出書房新社)など

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